JIEP 3D・チップレット研究会第6回公開研究会アップデート

TAZMO株式会社が開発を進める“ダイレクト・トランスファー・ボンディング(DTB)”

半導体技術が日々進化する中で、集積化の限界を突破する新しい技術が注目を集めています。その中でも、TAZMO株式会社が開発を進める“ダイレクト・トランスファー・ボンディング(DTB)”は、従来技術に比べて高精度で効率的な接合方法として脚光を浴びています。本記事では、この画期的な技術の概要と特長について解説します。

DTBとは?

DTBは、チップレットと呼ばれる半導体チップを、ダイシング後に(ドナーウエハーを)テープにマウントした状態で高精度でレシービングウエハー上に酸化膜接合(フュージョンボンディング)することを核にしています。極薄ダイのピックアップや移動の工程を省くことで、接合時の精度低下や異物混入を最小限に抑える狙いがあります。また、双方のウエハーを縦型に配置する装置構造を採用することで、ダウンフローによるゴミの減少と接合工程中のテープの振動を減少させ、さらなる高精度化を実現しています。

高精度と効率性を両立

TAZMOのDTB技術は、接合精度49nm(3σ)を達成しており、業界標準を超える性能を誇ります。さらに、アライメント後のチップ移動距離を極限まで短縮することで、作業効率も大幅に向上しました。これにより、1時間あたり最大2,000チップの接合が可能となり、大規模なCoW半導体製造プロセスにも適応できます。

開発を支える技術パートナー

TAZMOは、接合シートや膜種の開発において、多数の専門企業と協力しています。例えば、接合シートの分野ではリンテック株式会社と共同で、光学的特性と接着性能を両立した新素材を開発。さらに、株式会社アルバックのスパッタリング技術を活用して、接合面の膜質最適化にも取り組んでいます。

市場へのインパクト

DTB技術は、単なる接合プロセスの進化にとどまらず、データセンターやAI分野で求められる省電力化への貢献が期待されています。従来のはんだバンプ接合方法に比べてハイブリッドボンディングではチップ間の熱抵抗が低減されるとともに、反りの大きな薄型チップや脆弱なチップの接合も可能となり、信頼性と製品寿命の向上が期待されます。

今後の展望

TAZMOは、この分野での市場拡大を目指し、関連企業とのコンソーシアムを通じてさらなるイノベーションを追求しています。前回紹介したインテル社のSelective Layer Transfer (SLT)とも対抗できるコンセプトで、今後の応用と発展を期待したいところです。ダイシングテープから転写する方法は、過去ミューチップなどRFIDなどの超小型チップで用いられた手法で他社からも同様な提案がありますが、大型チップへの対応と特にダイシングテープなどの材料開発と、超クリーン環境を備えた精密装置技術が重要だと思われます。

3D・チップレット研究会第 6回公開研究会

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