2024 IEDM Conference: Semiconductor Industry Outlook and New Technology Frontiers


2024年IEDMでのTSMC Yuh-Jier Mii氏による基調講演をもとに、現代の半導体産業とその未来について解説します。EUVリソグラフィやCFETなどの革新的な材料、DTCO(設計技術協調最適化)を含む最先端の設計手法が融合し、高度なパッケージング技術とともに、AIや高性能コンピューティング(HPC)を中心とする次世代技術の時代が到来しています。

1. 市場展望

半導体市場は成長を続け、2030年には1兆ドル規模に到達すると予測されています。その成長を牽引する主要分野は以下の通りです:

   • HPC(40%)、モバイル(30%)、自動車(15%)、IoT(10%)

特にAI技術は重要な役割を果たしており、データセンター、スマートフォン、PC、自動運転車、さらにはロボティクスまで、幅広い応用が進展しています。

2. 先進ロジック技術

CMOSトランジスタの技術スケーリングは、以下のような進化を遂げています:

   • FinFETからナノシート、そして垂直積層型CFETへ。

   • CFETは、密度向上を実現する一方で、プロセスの複雑化やコスト増加の課題に直面しています。

   • 新しいチャネル材料やインターコネクト技術の開発により、効率化と性能向上がさらに進んでいます。

3. システム統合技術

従来の2Dスケーリングに加え、2.5Dおよび3Dパッケージング技術が注目されています。これらは以下の利点を提供します:

   • 高密度のチップ間接続:従来よりも6桁以上のインターコネクト密度を実現。

   • 低遅延と省電力化:データ転送距離の短縮により消費電力を削減。

   • 性能の最適化:用途ごとに最適化された機能分担が可能。

シリコンフォトニクスでは、以下の技術が統合されています:

   • 受動素子:導波路、グレーティングカプラー

   • 能動素子:変調器、フォトダイオード(Geを使用)

   • 光源:外部レーザーを光ファイバーで接続

具体的な応用例

1. AI向けコンピューティング

CoWoS技術により、複数の計算チップと高帯域幅メモリ(HBM)を統合。AIモデルの学習と推論速度が飛躍的に向上します。

2. 光トランシーバの統合

光学エンジンと電子部品を単一基板上に統合。AIネットワーク要件を満たすための高速・低エネルギーのデータ通信を実現します。

3. HPCシステム

システムオンウェハ(SoW)技術により、より大規模な演算処理が可能に。次世代HPC向けの高度な演算能力が実現しています。

4. 特殊技術

RF、非揮発性メモリ(NVM)、CMOSイメージセンサー(CIS)、シリコンフォトニクスなど、特殊技術も急速に進化しています。例えば:

NVM:RRAMやMRAMが従来のeFlashを置き換えつつあり、より高い信頼性とスケーリングを実現。

CIS:3層ウェハ積層技術や高密度キャパシタにより、AR/VRやスマートフォンカメラの性能向上を支援。

まとめ

半導体産業は、新材料、プロセス技術、システム統合を通じ、AI時代の技術革新を支えています。特に、エネルギー効率に優れたデータ集約型コンピューティングの需要に対応するため、今後のさらなる進化が期待されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です